一年去ってまた一年

年末には密かな楽しみがある。

下放送中の「プロ野球戦力外通告」ではない。僕の大好きな番組の一つではあるが、今回は新幹線で帰省中のため、録画してもらっている。

 

密かな楽しみは現在進行中だ。

それはFacebookを眺めること。年末特有の一年振り返り投稿が、タイムラインを埋め尽くしている。

その一つ一つを丹念に読んでいくと、自分の不甲斐なさにいたたまれなくなってくるが、そういうゲームだと思って自分の肥やしにしようとする。

一年という単位で過去を振り返ること自体困難に思われるが、人々は総じて色々な経験ができたと、いい具合に思い出を束ねて心のファイルにしまっている。

 

僕も例に漏れない。Facebookでは自分を必要以上に格好良く見せ、Twitterでは醜い部分すら愛されたがってしまう僕のこと。

しかし、出てくる言葉は毎年似たり寄ったり。強い後悔をグッと飲み込むかのように年越しそばを啜る。意識がMAXなのは投稿ボタンを押すその瞬間。人は簡単に変わらないのである。

 

今年は特に気が早くて、12月の半分も終わらないぐらいから、一年を振り返っていた。ちょうどペタンクの一人練習をしている時なんかに。

一月、二月、三月……。一月ずつ振り返っていくと、毎月のタイトルを付けられそうだ。とても総括なんてできない。やはり、大学に入ってからの一年はそれまでと比べるととてつもなく濃い。

 

経験という言葉で括ると、春休みにイタリアでホームステイしたり、五月祭模擬店企画で2位に選ばれたり、ギターを始めるも続かなかったり、北海道を一人で700km運転し続けたり、駒場祭でステージに立ったり、ブログのネタ作りに合コンに参加するもそれっきりだったり、と色々あったようななかったような気がしてくる。

もっと真面目に考えたこともあったし、人付き合いをちょっと頑張ってみたりもした。感情というものを学ばせてもらった。いわば人並みの大学生活を堪能した感じだ。

 

なんだけど。

 

確かに色々なことがあったよね。身長も数mm伸びたかもしれない。いや、その成長じゃないって?ともかく、一年前の君と今の君じゃ比較のしようもないけど、どこかしらは変わったんじゃない。

 

じゃあ、何が出来るようになった?

 

突然天の声が聞こえてきて、しばらくして僕は愕然とした。

何が出来るようになったかだって? そういえば、考えてみたこともなかったな。何だろう……車の運転は出来るようになったよな。免許取得して実際に公道も走ったし、間違いない!あとは、、思いつかない!?てか、運転ももう忘れちゃったかも……。

 

今まで目を背けていた現実に向き合わされた瞬間だった。僕は何も出来るようになっていない。一年を無駄にしたとさえ思えた。

 

来年は、何でもいいから何か出来るようになりたい。「経験」という甘ったるい言葉を突き抜けてくる何かを求めて邁進したい。